庶民の味方・波佐見焼を中心に巡る、九州焼き物旅
旅色LIKESメンバーのほしこさんが九州で焼き物旅へ。出かけ先でたまたま見つけた波佐見焼のお皿をきっかけに器に興味を持ち始めたほしこさん。2023年の旅行は九州を攻めよう! とも思っていたそうで、初めて訪れる長崎県で焼き物にまつわるスポットを周り、さらに関心が深まったそうです。
目次
今回の旅のきっかけ
お店での食事中、旅先の宿の食器など、ふと器に目が行くことはありませんか? ある日、訪ねた水族館のお土産屋さんでたまたま出会ったお皿がきっかけで波佐見焼を知り、器に興味を持つようになりました。さらに、2023年は私にとって九州強化年間。未踏の地であった長崎県を訪ねるならば是非行きたい! と、波佐見焼の産地である波佐見町とその周辺を訪ねてきました。せっかくなので2023年2月に出会った天草(高浜)焼きと共に、波佐見焼多めでご紹介します。
今回紹介する焼き物とその産地
・波佐見焼/長崎県
・有田焼/佐賀県
・肥前吉田焼/佐賀県
旅の前に/九州の焼き物文化について
日本でも縄文時代から焼き物文化はありましたが、九州の焼き物に大きな影響を与えたのは豊臣秀吉です。秀吉が行った朝鮮出兵を機に、それぞれの大名がお気に入りの陶工を連れ帰り窯を開かせたことから、九州の磁器文化が広がったといわれているそうです。
波佐見焼とは
波佐見焼の特徴は、白磁の器に藍色の染付。天草焼と同じく、天草陶石が使われています。庶民が使う食器として親しまれており、古くから江戸や大阪に伝わって使われていたそうです。現在でも日用食器のおよそ16%のシェアを占めているそうなので、皆さんもきっとどこかで出会ったことがあるのでは。最近はカラフルでオシャレなお皿もあり、進化し続けています。
器初心者におすすめの焼き物店 「natural69」
私が最初に出会った波佐見焼はこのお店の商品。オリジナル商品を中心におしゃれで使いやすい波佐見焼、有田焼の器をセレクトして扱っています。どれも可愛くて安価なので焼き物初心者におすすめ。お店の周りは建物が少なく高台にあるので、店内から見える風景も素敵。向かいの建物には訳あり品が格安で売っており、さらにお得に手に入れられます。
◆natural69
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町村木郷2311
電話:0956-85-3427
営業時間:9:00~17:00
定休日:夏季休業日・年末年始
製陶所跡をリノベーションしたエリア 「西の原」
続いて「natural69」から車で5分ほどの「西の原」へむかいます。かつて波佐見焼の製陶所だった約1500坪の跡地を利用して、カフェやショプなどが集まるエリアです。
製陶所の出荷事務所を改装したお店 「南創庫」
西の原の一番奥に位置する波佐見焼のお店で、わたしイチオシのお店。窯元から始まり、いまや波佐見焼を代表する焼き物の総合商社「西海陶器」。そちらの商品を中心に、遊び心のあるデザインからシックなものまでさまざまな器を扱っています。お土産にぴったりな可愛い小皿もあり、料理だけでなくアクセサリー置きにも良いかも。
◆南創庫
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2187-4
電話:0956-76-7214
営業時間:11:00〜18:00
定休日:水曜日
素材にこだわるカフェレストラン 「monné legui mooks (モンネルギモック)」
西の原内で人気のカフェ「monné legui mooks」はお客さんがいつまで経っても途切れないほど大繁盛。私は運良くすぐに入れましたが、待つこともあるので来店時は余裕を持って向かいましょう。店内はウッド調で落ち着いた雰囲気。もちろん、使われている器も素敵。提供時のお皿は人によって違うのでお互いに見せ合いながら楽しめます。
◆monné legui mooks
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2187-4
電話:0956-85-8033
営業時間:12:00〜18:00
定休日:火・水曜日
センスの良い器が勢ぞろい 「OYANE(オーヤネ)」
西の原から車で約3分の場所にあるお店で、波佐見焼の器をメインに日用食器から業務用まで幅広い品揃えの商品を販売しています。こちらにはケーキ皿を探しにきました。妹からお客さんが来ても使えるお皿をとリクエストがあったので、優しい色合いながら華やかなものを選んでみました。
私が密かに感動したのがこちらの小皿。箸置きいらずの豆皿は手前に箸を置いて奥に醤油を入れても、おつまみや薬味を乗せても良し!
◆OYANE
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町折敷瀬郷2204-4
電話:0956-85-3151
営業時間:9:00~18:00
定休日:無休
波佐見陶器まつりのメイン会場 「波佐見やきもの公園」
JR有田駅から車で約15分に位置する公園で、「世界の窯広場」という世界の釜を再現した広場があり、遺跡のように様々な形の窯が並ぶ、世界的にも珍しい野外博物館としての一面もあります。公園入り口には陶磁器のかけらで彩られた壁画があり圧巻です。GWには県内外の人々が集まる「波佐見陶器まつり」開催されるそうですよ。
◆波佐見やきもの公園
住所:長崎県東彼杵郡波佐見町井石郷2255-2
電話:0956-85-2214(陶芸の館)
有田焼とは
長崎県の波佐見町と、佐賀県の有田町は県境を跨いでお隣。日常品の波佐見焼とは対照的に、美術品として海外にも輸出されていたのが佐賀県有田町で作られている焼き物。焼き物は陶器・磁器がありますが、日本で初めて作られた磁器は有田焼と言われています。この地域で見つかった陶石を使って作られたのが有田焼で、一部は伊万里港から輸出されていたため、これらを伊万里焼とも呼んだそうです。
焼き物の町ならではの神社 「陶山(すえやま)神社」
町を見下ろす高台に位置する「陶山神社」。そこに立つ看板は、焼き物の街ならではの磁器製。境内にある狛犬、大灯籠、大水瓶、陶柱なども磁器でつくられています。さすがです。磁器の絵馬やお守りもあり、予約制で名前入りのお守りも扱っているそうですよ。
実は本殿ヘ向かう階段を登った先に遮断機のない踏切と、そのすぐ奥に鳥居があります。なんと、目の前を電車が通るのです! たまたま通過の時間に居合わせた私たち。鳥居側からこんな写真も撮れました。距離感が伝わるでしょうか?
◆陶山神社
住所:佐賀県西松浦郡有田町大樽2-5-1
電話:0955-42-3310
肥前吉田焼とは
佐賀県嬉野市にて焼かれる磁器で、約400年の歴史があります。今回の宿泊先である佐賀県・嬉野温泉は嬉野茶が有名なので、この地域では急須などが作られることも多かったそう。ほかの地域と比べ小規模の産地ながら、特に食器類の知名度が高く、普段の生活に広く浸透しています。
宿泊先のホテルにあった肥前吉田焼のガチャガチャ。箸置きとしても良し、裏に付属のマグネットをつけても良し。肥前吉田焼では水玉模様が代表的な柄の一つだそうですが、今回は当たらず残念……。
天草(高浜)焼とは
2023年2月に天草で宿泊した時にお部屋にあったのが、高浜焼。「白く」「薄く」「透明な」のが特長で、かつてはオランダへ輸出されていたそう。天草陶石で作られたこのティーカップは、海松紋(るみもん)と呼ばれる海藻を描いたもので、江戸時代中期に作られていたようです。ティーカップだけでなく、洗面所のコップも高浜焼で心躍りました。
おまけ情報/ハウステンボスで学ぶ有田焼
ハウステンボスの無料エリアには、波佐見焼や有田焼を扱うお土産屋さんがあります。こちらではnatural69の器も含め、様々なお店の器が並ぶだけでなく、お隣のギャラリーでは有田焼や伊万里焼の歴史を学ぶことができます。長崎に来たけど波佐見まで行く時間はなかった……という方でも諦めずに是非立ち寄ってみて。他にも、九州には唐津焼など焼き物文化が根付いています。地域によって異なる特徴の場合もあればルーツが同じだったり、材料が同じで実は似ていることも……。知れば知るほど興味が湧き、集めたくなります。次はどこに行こうかな。
◆この記事を書いたメンバー
ほしこさん(5期生)
都内在住。国内外問わず、主に週末を利用して色々なスタイルで旅を楽しんでいます。 全国公認酒蔵のお酒ラベルをコレクションする御酒印帳を片手においしいお酒と食事を楽しんだり、散歩しながら写真を撮ってみたり、これからもたくさんの場所に訪れたいです。