春の訪れを感じる 奈良の伝統行事「修二会」と京都随一の梅の名所「城南宮」へ

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2024.02.27

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春の訪れを感じる 奈良の伝統行事「修二会」と京都随一の梅の名所「城南宮」へ

例年2月下旬から3月中旬ごろ、京都では梅が見頃を迎え、毎年3月1日~14日には、東大寺の伝統行事である「修二会(しゅにえ)」が行われます。今回は、旅色LIKESメンバーのいぬさんが過去に訪れた修二会の様子と京都にある梅の絶景スポットを紹介します。早春の古都を巡る旅の予習にどうぞ!

目次

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1270年間、1度も絶えたことがない伝統行事「修二会」

修二会観覧には入念な準備が必須!

永く、大切に守られてきた伝統行事と文化財

梅の花が織りなすグラデーションが胸を打つ「城南宮」

おわりに

◆この記事を書いたメンバー

1270年間、1度も絶えたことがない伝統行事「修二会」

実は、東大寺には天平勝宝4年(752)に初代住職を務めた僧である良弁僧正の弟子・実忠和尚がはじめて以来、ずっと続いている法要があります。それが「修二会」です。もしかすると、「お水取り」とか「お松明(たいまつ)」という言葉で聞いたことがあるかもしれませんね。修二会とは、東大寺にある仏堂・二月堂の本尊である十一面観音に罪を懺悔して、国家の安泰や五穀豊穣などを祈るものです。毎年3月1日〜14日までの約2週間行われており、特に19時頃、※練行衆(れんぎょうしゅう)の足元を照らすあかりとして上げられる「お松明」が欄干で振られる様を見に、多くの参拝者が訪れます。

※練行衆:修二会を行う11人の僧侶のこと。

修二会観覧には入念な準備が必須!

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二月堂

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だんだんと暗くなる景色に期待が膨らむ

修二会のスタートは19時ですが、17時頃には人が集まってくるそうなので、わたしも早めに会場へ。それでも、参道から東大寺大仏殿までの通りは鹿にエサをあげる人が多くて思うように前に進めません…‥。さらに、大仏殿から会場である二月堂までは上り坂や階段もあり、かなり歩いたと思います。到着すると、既にたくさんの人々が! すかさず列の最後に並び、ついていくと二月堂の真下にある観覧場所になんとか入れました。が、確保できたのは最前列のお堂に向かって右端。ふと周りを見渡すと、毎年観に来られているであろう方はポータブルの椅子やビニールシートを持って準備万端の様子。さらに、二月堂の欄干全景が見渡せる少し下がった平坦な位置には、立派なカメラを持った方々の姿がありました。準備の意気込みが違く、驚かされてしまいました…‥。。それでも、人生初のお松明にワクワクし、変わりゆく空の色を眺めながら約2時間、暗くなるのを待ちました。

永く、大切に守られてきた伝統行事と文化財

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19時になると、鐘の音とともに「わー!」という歓声が。行事の始まりです。練行衆がお松明を真ん中あたりでぐるぐる回転させていたようだったのですがわたしのいた端っこではなかなか見えず…‥4、5本のお松明を見送った後だったでしょうか。ドンドンドンドンという勢いよく走るの足音とともに大きな火の玉がこちらに迫ってきました。大きな松明が登場し、松明の先が欄干の外に突き出され、ぐるぐると勢いよく回ります。綺麗なオレンジ色のお松明からは白い煙が上がり、パチパチと音を立てて炎は燃えさかり、火の粉が振りそそぎました。怖いくらいの迫力でしたが、思わず魅了されてしまいました。これが、1270年続く伝統行事の素晴らしさなのですね。

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小高い丘の上の二月堂からの夜の景色も素敵

10本のお松明が終わると、先ほどまで舞台だった二月堂を拝観できるとのこと。もちろんわたしもお参りをして帰ることにしました。お堂にはお水がまかれていて、床が濡れていました。大切な文化財への配慮を感じました。お松明は期間中、毎晩行われるので、時間があれば奈良に2泊して違う場所から見てみるのも面白いかもしれませんね。

◆東大寺
住所:奈良県奈良市雑司町406-1
TEL:0742-22-5511
※各参拝所詳細については公式HPを要確認

東大寺 公式HP
修二会 詳細

梅の花が織りなすグラデーションが胸を打つ「城南宮」

翌日は京都の南にある神社「城南宮」へ、見頃を迎える梅を見に行きました。9時から参拝可能だったため、早めに向かいましたが、受付には長蛇の列が。参道も梅を見に来た人たちで思った以上ににぎわっていました。城南宮は、古来より方除け・厄除けの社として信仰を集め、本殿の周りには四季折々の花や紅葉に彩られた神苑「楽水苑」があります。ここは『源氏物語』に描かれた80種あまりの草木が植栽されています。そのため「源氏物語の花の庭』としても親しまれ、毎年2~3月にかけては「しだれ梅と椿まつり」が行われています。

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楽水苑には150本以上のしだれ梅が咲き誇る「春の山」エリアもあります。こちらは『源氏物語』に登場する光源氏の大邸宅のモデルとされ、薄紅色や紅白色の花が咲き誇こり、豪華な春の訪れを感じさせてくれます。思わず声が出そうになるくらいの美しさでした。遠くに見えるしだれ梅がまるでカーテンのよう……。また、足元に目線を映すと、緑色の苔とピンク色の梅、そして、赤い椿の花が下に落ちている様子も素敵です。

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お庭をひと回りして神社に戻ると、神楽殿(平安時代の貴族の邸宅である寝殿造りを模した御殿)では梅の花の冠をさした巫女の神楽が始まるタイミングでした。この城南宮では、それぞれの季節に合わせて「梅」「藤」「菊」の花を手にした巫女が神楽を舞っているんです。優しい神楽と鈴の音に癒されること間違いなしです。また、梅の花守り(初穂料1000円)を受ければ巫女が神楽鈴でひとりひとりお祓いをしてくださるというので、私もお願いしました。

◆城南宮
住所:京都府京都市伏見区中島鳥羽離宮町7番地
TEL:075-623-0846
神楽演舞時間:平日10:00~、土・日・祝日10:00~、15:00~

城南宮 公式HP

おわりに

早春の訪れを満喫できる古都の旅でした。まもなく梅も見頃の時期、そして、修二会も始まります。途切れず続く伝統と、この時期にしか見られない美しい庭園を見て、心洗われるひと時を過ごしてみては。

◆この記事を書いたメンバー

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いぬさん(6期生)
広島在住。いつか行きたい……と思ったまま流れてしまった時間を取り戻したく、「いつかじゃなく、今行きたい。来月行きたい。春に行きたい」と行動したいと思っている旅好きメンバー。

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#京都 #奈良 #旅色LIKES #春 #梅 #修二会 #東大寺 #城南宮

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