北海道の中でも「食の宝庫」と言われる
十勝エリアを訪れました。
食を巡る旅はいかがでしたか？

北海道は地域ごとにおいしいものがありますよね。十勝に来たのは初めてですが、十勝と聞いて真っ先に思い浮かんだのがチーズでした。私、チーズ大好きなんです。共働学舎新得農場でチーズを選ぶひと時はとても楽しかったですし、カフェスペースで食べたラクレットも、シンプルなのに本当においしくて。溶かしたチーズをとろ～りとパンにのせる瞬間を見たのは初めてで、ちょっと感動しちゃいました。

地元の食材を使ったスイーツや料理も楽しみましたね。

六花亭 帯広本店の喫茶室で食べたパンケーキは、口の中で溶けるくらいふわっふわでした！ ボリュームがあるのにペロリと食べられて……おいしすぎて危険なスイーツですね（笑）。十勝トテッポ工房は「十勝に来たんだ」と感じられるアートな空間が素敵でした。シマエナガちゃんのケーキは食べるのがもったいないくらい可愛かったです。新得町のレストラン「ラ・モトリス」では、野菜のおいしさに感動しました。サラダにあれほどたくさんの種類の野菜が入っているのに驚きましたし、すごく手が込んでいて。今回の旅ではつい食べすぎてしまいましたが、おいしいものを前にすると「おなかは自然と“別腹”を作るんだ」って実感しました。

お土産もたくさん買われていましたね。

甘いものも好きなので、事前に調べて「これは絶対買って帰ろう」って決めていたものもありました。チーズもたくさん買えて大満足です。自分用に買ったものは、ホテルに戻ってからすぐにお酒と一緒にいただきました（笑）。

ほかには何が印象に残っていますか？

十勝川温泉で入ったモール温泉は、肌がツルツルになってとても気持ちよかったです。ここはモール温泉という珍しい泉質だそうですね。本当にいいお湯だったので、今度は母と一緒に行きたいです。

旅がお好きだそうですが、
奈緒さんにとって旅はどんな時間なのでしょう。

純粋に自分の「好き」を知れる時間、でしょうか。東京にいるとどうしても仕事のことを考えてしまって、自分と向き合う時間って少なくなりがちです。旅はそんな日常から離れ、自分の心の動きに純度高くいられる大切な時間。ちょっと忙しすぎたかなと思ったら、1回立ち止まって旅に出て、改めて自分の「好き」「幸せ」という気持ちと素直に向き合っています。

パッと身軽に旅に出るタイプだと
聞きました。

旅の目的は1つでいいと思っているので、例えば「うどんを食べる」とだけ決めて香川県に行ったりしますね。村上春樹さんが書かれた、ウイスキーの聖地を巡る旅のエッセイ「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」が好きなんです。「旅の目的は1つだけ」というスタイルに共感しましたし、旅って、あれこれ詰め込まなくてもいいんだと気付かされました。動機はシンプルでも、行った先でいろいろな出会いがあるし、そこで感じることもたくさんあると思うので、あまり細かく決めずに行くことが多いです。

旅先でのスケジュールは、行ってから決めるのですか？

そうですね。その場の流れで動くのが好きなので、地元の方におすすめを聞いたりして決めます。最初から予定を詰め込んでスケジュールに縛られるよりも、のんびり旅をしたいんです。以前、函館を旅したとき、たまたま乗ったタクシーの運転手さんと仲良くなって、連れて行ってくれた牧場で雑談しながらソフトクリームを食べたのも楽しい思い出です。こういう出会いがあるって幸せですよね。

ひとり旅が多いのでしょうか？

最近は“現地集合”をするようになりました。近々韓国旅行に行くのですが、仲のいい人たちに「私は何日から何日まで韓国にいるよ」と連絡して、その間に来られる人と現地でバラバラと落ち合う計画です。みんなで休みを完全に合わせるのは結構難しいですし、現地で一緒に行動してもいいですし、思い思いに行動してもいいという感じで徐々にスケジュールが決まってくるんです。いろいろな人と行動した方が自分だけでは起きないことが起きたりするので、それも楽しいなと思っています。それに人数が多ければ、みんなでシェアしてたくさんおいしいものが食べられる！ これは大きいですね（笑）。

「sunao」名義で写真家としても活動されていますが、
旅先でも写真は撮りますか？

人を撮ることが好きなので、旅に出ると友達を撮ることは多いです。現地で仲良くなった方を撮らせていただくこともあります。今回訪れた十勝でも、撮りたい瞬間がたくさんありました。ひとり旅でも、カメラがあると誰かと来ているような感覚になるんですよね。前に大切なカメラが壊れてしまった時は、ショックで悲しくて、なかなか立ち直れませんでした。一緒に旅した思い出もあれば、「あの旅も一緒に行っておけばよかった」という後悔もあって。スマホでもきれいな写真は撮れますが、私にとってカメラは“相棒”のようなものなのかもしれません。

今後、旅したい場所は？

ずっと行きたいと思っているのが金沢です。元々日本の伝統的なものが好きで、金沢は素晴らしい伝統工芸がたくさんある街だと思うので、とても興味があります。特に好きなのは器です。ひとり旅では、窯元巡りをよくしています。お仕事で滞在した街の窯元を調べて、オフの日に回ったこともあります。その土地で作られた器で、その土地のものを食べたり飲んだりするのがまたいいんです。萩焼の器を作りに行ったときは「絶対この器に萩のお魚を盛るんだ」と決めて、お魚を買って帰って、家でお刺し身にして食べました。

そこまでこだわるとは！
奈緒さんは、自分なりの
旅スタイルが確立していますね。

そうかもしれません。荷物が最小限になるよう工夫したり、友達と一緒に行くときは旅のしおりも作っちゃうので、よく「準備がよすぎる」と言われます（笑）。現地での過ごし方は出たとこ勝負が多いですが、自由に旅するために交通情報だけは事前に調べておきたくて、乗降する場所や時間、料金などを盛り込むんです。地方だと「バスが全然来ない！」と困ったことも多々あるので、経験を生かして楽しみながら準備しています。