『月とコーヒー』
装幀ユニット「クラフト・エヴィング商會」のお一人で、作家としても人気が高い著者の「寝しなに読む短いお話」。どれも唐突に始まりあっという間に終わるので、夢か映画、あるいは旅先で見た1シーンのよう。魅力的なのはコーヒーが出て来ること。飲むと眠れなくなる飲料ですが、登場人物たちが一息入れたり心を整えたりする場面につられ、リラックスしてきます。想像力あふれる世界へようこそ!
1,980円/徳間書店
『コーヒーは楽しい!』
フランスでベストセラーの絵本タイプのコーヒー本。「あなたの習慣は?」に始まり、用語集、豆の挽き方、保存方法、エスプレッソマシンの選び方、産地紹介まで、しゃれたイラスト満載でグラフの色使いも粋。本書から学べるのは、栽培にしろ淹れ方にしろ、かけられている人々の手間です。「はるばるここまで来たんだなあ」と豆たちの旅に思いをはせたくなり、いつもの一杯が愛おしくなります。
2,530円/パイ インターナショナル
『京都カフェ散歩 / 喫茶都市をめぐる』
カフェの多い都市は数あれど、京都のあの特別感はなんだろう――その答えが本書にあります。「歴史と共に歩んできた喫茶店」「町屋、洋館、長屋を改造」など、この町特有の時間が一杯にしみ込む67店を紹介。写真も豊富で、ドアのステンドグラスのレトロ感がたまらない「名曲喫茶 柳月堂」、京大生御用達の「進々堂」などあなたのお気に入りがきっと見つかります。現在の営業についてはHPをどうぞ!
838円/祥伝社黄金文庫
『クライ・マッチョ』
今年91歳を迎えた、生きる映画界の伝説ことクリント・イーストウッド監督の50周年記念作。落ちぶれた元カウボーイと少年が壮大なメキシコの大自然を車で旅するロードムービーです。自分で製作し、監督し、主演し、美女にモテモテの役まで演じちゃう! そんな巨匠の現役感を目の当たりにすると活力が湧いてきますし、年齢を重ねることが楽しみにもなるんです。また、少年の決断はどれも快活で一歩踏み出す勇気を与えてくれるはず。人生に必要なものはそんなに多くなく、愛する人とコーヒーを飲む、癒しの時間であること。映画のなかに登場する運命の一杯は、せわしない日常生活で忘れがちなことを思い出させてくれますよ。
配給:ワーナー・ブラザース映画
『バグダッド・カフェ』
ミニシアターブームにおいて日本でも伝説となったロングランの名作です。人生の悲喜交々が描かれたストーリー、砂漠の風景、奥深い演技、音楽、アート。映画は総合芸術と言われていますが、この作品をみるたびこの言葉に相応しい映画だ、と感心してしまうんです。黄色い魔法瓶から注がれたコーヒーは砂漠の真ん中の人々を癒し、時に会話を生むきっかけに。今でも世界中のアーティストがカバーしている名曲「calling you」。この曲にいつのまにか自分まで包み込まれ、ノスタルジーの頂点へと誘ってくれるんです。ロケ地となった場所は公開から30年以上経った現在もアメリカ西部の同じ場所に健在。世界中からファンが訪れています。
『珈琲時光』
若い女の子がシングルマザーとして生きていく決意を固める。そんな人間ドラマを小津安二郎の生誕100年を記念し、小津を敬愛する台湾の巨匠ホウ・シャオシェンがオマージュを捧げる形で映画化しました。異邦人の眼差しで見つめた東京は、私たちの知っている街なのにフィルターがかかっているかのように知らない光に包まれていて、街角のぬくもりや美しさを再発見できる喜びが。東京を巡りたくなり、そしてまたこの街で踏ん張っていこうと思える優しいビタミンのようです。実在する珈琲店が登場しますし、安心感やほろ苦さやあたたかさに触れられる珈琲を心の柔らかい部分で味わえるような、コーヒーを体感する映画です。