美又温泉 / 島根県
2023.07.10
「温泉総選挙2022」で観光大臣賞を受賞した美又温泉。訪れたその地は、温泉地の活性化に向け、地域が一体となり取り組み、訪れる人をとてもあたたかくもてなしてくれる“帰りたくなる場所”でした。
美又温泉
住所島根県浜田市金城町追原
日本全国に温泉が湧いていますが、美又温泉のある島根県は県全体で「美肌県 しまねの湯」と大々的に美肌をアピール。その島根県に於いてとろりとしたお湯が美肌温泉中の美肌温泉と密かにささやかれるのが浜田市の山あいに湧く「美又温泉」。
JR山陰本線浜田駅からタクシーで25分と決してアクセスが良いわけではありませんが、そのぶん日常を忘れて過ごす転地効果が期待できる温泉地です。
美又温泉の泉質はアルカリ性単純温泉。世の中の美肌温泉の多くはpHがアルカリ性(含む弱アルカリ性)で、「美又温泉」もpH9.9の高アルカリ泉です。もう一つ注目すべきは美肌サポート成分といわれるメタケイ酸の量ですが、こちらはpHと併せて非常に良いバランスで含まれていて、美容液のような手触りと湯上りのつるつる美肌を叶えてくれます。
「美又温泉」にしかないオリジナルの商品を作ろうと、2013年に立ち上げられたのNPO法人「美又ゆめエイト」。どこにでもある製品を加工して「美又温泉」の名前をプリントしてもしょうがない、材料から地元にあるものを使って新しいものを作ろうと、試行錯誤してできあがったのが、地元の黒大豆を使った「大黒とうふ」、黒米を使った焼酎「黒大蛇(くろおろち)」など。
普通の大豆を使った豆腐と異なり、黒大豆を使った豆腐は扱いが難しいため、他の地域では作られていません。材料の配分や使用するにがりの産地を何度も変えて、ようやく美味しい大黒とうふが完成しました。
この貴重な大黒とうふは一週間に一度、「夢はち工房」で地元の人たちの手によって製造されています。大豆の味が濃い目で、お醤油につけていただくだけでなく、浜田の藻塩を少しふって食べるのもおすすめ。
温泉街の南西にある美又温泉国民保養センターで購入できます。
温泉街にある「美又温泉足湯公園」は、気軽に美肌の湯である「美又温泉」を親しむのに絶好のスポット。湯治場風情の残る温泉街を散策しながら、立ち寄るのにぴったりの場所です。
利用料は無料。ひざ下からつるつる美肌を目指してください。
温泉街の東南の外れに建つ「美又温泉国民保養センター」は少しレトロな佇まいも人気。館内は1階が受付、食堂、売店、2階が休憩室、3階が男湯で4階が女湯となっています。温泉街散策の途中で立ち寄って入浴したり、お土産を購入するのにぴったりなスポット。
敷地内には故水木しげる氏のチーフアシスタントを務めた浜田市出身の佐々岡健次氏の妖怪絵展示室もあります。
美肌成就祈願ができる!この言葉にそそられない女性はいないでしょう。温泉街に鎮座する「美又薬師神社」は温泉や医薬の神様として敬われてきた少彦名命(すくなひこなのみこと)。
ぜひお参りして美肌のご利益を授かってください。
温泉街に沿って流れる川は家古屋川。例年6月10日頃から8月初めまで蛍が見られることでも知られます。およそ2ヵ月という長きに渡ってホタル観賞ができるのは、少しずつ光る時期の異なるゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタルの3種類もの蛍がこの川に生息しているから。それだけ豊かな自然環境が残されているということです。
またこの川にはアヒルが暮らしています。遠目にはカモによく似ているのですが、くちばしを見ればアヒルとわかるはず。温泉街で孵化させているのですが、今ではすっかり川のアイドルです。
さらに川の対岸には美又温泉の源泉を販売する温泉スタンドがあります。10円で約20リットルと激安です。
地元で栽培する黒大豆を使った「夢はち工房 大黒とうふ」がこの温泉地の名産品。
また、大黒とうふを作る時の副産物として生まれた黒いおからは、そのままで販売しているほか、黒こんにゃくや黒おからかりんとうに加工されています。美又温泉のお土産は”黒”に注目ですよ!
「きびそ」とは、蚕が繭を作る時に最初に吐き出す糸を指します。量は1匹の蚕の作る繭のたったの4%。しかも加工が難しく、これまでは捨てられていたことがほとんどだったとか。この中には保湿性に優れた「セシリン」という成分がたっぷりと含まれていて、タオルとして利用すれば日々のスキンケアをサポートしてくれます。
この貴重な「きびそ」を織りあげた潤いタオル「きびそ肌友だち」は、自分へのお土産にもぴったりです。
温泉街の中ほどに位置する「とらや旅館」は、美又温泉では数少ない源泉掛け流しの宿。昭和レトロな趣のある玄関をくぐると、湯治場のような風情が感じられます。
特筆すべきはやはりお風呂。けっして大きな浴室ではありませんが、タイル張りの湯舟には贅沢にお湯が溢れています。わざわざこの宿のお湯に入るためだけに東京から来るお客さんもいるのだそうですよ。
食事も地元の山菜や浜田港で仕入れた日本海の魚介のほか、ちょっとピリ辛の薬膳美肌鍋で体の中からも綺麗に。脂がのった浜田のノドグロは塩焼きで食べればほっぺたが落ちそう。さらに名物料理のカレイのみぞれ煮は煮汁と大根おろしがたっぷりでリピーターにも大好評です!
広島方面から来るお客さんが大半だと言う「美又温泉」は、思った以上に静かな温泉地でした。石畳の温泉街はどこか時間が止まっているかようなノスタルジーを感じます。
一方で、地域の方々がNPO法人「美又ゆめエイト」を立ち上げ、各旅館と協力しながらこの地域で昔から栽培されていた黒大豆を活かした新しい商品を開発するなど、この土地ならではの魅力をアップさせる取り組みが続けられています。
「知る人ぞ知る」という言葉がぴったりの「美又温泉」。国内トップクラスの美肌温泉と、人情溢れるおもてなしに、帰る時には「次はいつ来ようか」と思わずにはいられません。
温泉総選挙では他にも様々な部門の賞を発表しています
ぜひチェックしてお気に入りの温泉地を見つけて訪れてみてください